歯周病が進行すると、歯を支える骨が失われてくることにより、歯が移動し、歯並びが以前より悪くなることがあります。
これを歯の病的移動 (Pathological Tooth Movement) といい、進行した歯周病の約30~50%で、前歯の位置移動や歯間離開(歯の間が開いてくること)が認められてきます。歯周病が初期から中等度であれば、適切な歯周病治療で改善できることも多いと言われています。
歯周病治療により、矯正治療などを行わずに歯並びが改善した症例をご紹介します。
初診時:30歳の女性
主訴:歯肉から出血する、以前に比べて前歯が出てきた気がする。
診断名:広範型中等度慢性歯周炎
治療経過:①ブラッシング指導②スケーリング(歯石とり)③ルートプレーニング(汚染された歯根の滑沢化)④咬合調整(噛み合せの調整)⑤歯周外科治療(エムドゲインゲルを用いた再生療法)⑥メインテナンス
左下が治療前、右下が治療終了後3年経過時の口腔内写真です。
初診時に見られた前歯の離開は、治療終了時に改善されています。歯周病治療により歯肉の炎症が消えてくると、徐々に歯は本来の位置に戻ろうとします。この生体の治癒能力を引き出すことによって、矯正治療や補綴治療(被せ物による治療)を行わなくても歯並びが治ることがあります。
この患者さんは現在もメインテナンスを継続しており、歯周病の再発もなく良好な経過をたどっています。

