歯と認知症、その意外な関係
近年の日本で社会問題となりつつある認知症。
8年後の2025年には、65歳以上の高齢者の実に5人に1人が認知症に罹患する(その数700万人以上!)という厚生労働省の調査結果もありますが、私たちの歯の健康と認知症の間に、発症をめぐって確かな因果関係があるという事実をご存知でしょうか?
歯と認知症の関連を調査した、2010年の厚生労働科学研究は次のような調査結果を報告しています。
要介護認定を受けていない愛知県内の65歳以上の4425人を対象に、4年間にわたり、認知症を発症するまでの日数、咀嚼能力(咬む能力)、歯の本数、かかりつけ歯科医院の有無などを検討したところ…
歯が20本以上残っている方(人間の歯は28本。親知らずを入れて32本)の認知症発症率が2.9%にとどまったのに対し、歯がほとんどなく入れ歯も使用しない方は、この約4倍の11.5%が認知症を発症。
なんでも咬める人に対して、あまり咬めない人の認知症リスクは1.5倍。
かかりつけ歯科医院のある人に対して、ない人の認知症リスクは1.4倍。
歯を失うと、認知症のリスクは最大1.9倍に跳ね上がる。
歯を失ったり、咬めなくなることで、認知症発症リスクが高まることが示されました。これは、しっかり咬むという行為が脳を刺激し、認知症予防に有効であると考えられます。
また、先日の読売新聞の記事(2017.2.10)を読まれた方も多いかと思いますが、特定の虫歯菌の存在が、認知機能の低下につながるという研究結果が京都府立医科大学から発表されました。
この研究結果によると、認知機能の低下につながる脳内の微小出血が、虫歯菌の一種を保菌する人に多いとのことです。
全く関係のないような歯と認知症の意外な関係、しっかり咬んで、口腔ケアを行うことが、ひいては認知症予防にも繋がるのです。
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