歯周病は初期のうちは、適切なブラッシングや衛生士によるクリーニングや歯石取り(これを歯周基本治療と言います)で改善します。
しかし、中等度以上に進行してしまった歯周病は、場合によっては外科手術が必要になります。
歯周病を改善するための外科手術には様々な方法がありますが、主役となるのは、失われた骨などの歯周組織を再生する歯周組織再生療法です。
歯周組織再生療法には、GTR法、エムドゲインを用いた再生療法などがありますが、今回紹介するのは日本発の歯周組織再生医薬品として発売開始から約6年経過したリグロスを用いた再生療法です。
当院でも2017年の販売開始よりリグロス を用いた再生療法に積極的に取り組んでおり、手術件数も200件近く行っています。保険適応で行えるというメリットがありますが、よりシビアなケースで用いられる骨移植や膜などの併用は保険適応外になります。
初診:2019年9月、24歳の女性
主訴:歯肉がよく腫れる、歯肉からの出血が気になる。
診断名:広範型侵襲生歯周炎 Stage Ⅲ Grade C
治療経過:①ブラッシング指導 ②スケーリング(歯石とり) ③ルートプレーニング(汚染された歯根の滑沢化)④歯周外科治療(リグロス を用いた再生療法) ⑤メインテナンス(治療終了後 3ヶ月に一度)
費用:全て保険診療
患者さんは24歳という若い年齢にも関わらず、中等度以上に進行した歯周病でした。歯周基本治療である程度の歯周ポケットの改善は認められましたが、この先何十年も歯を保存することを考えると、少しでもリスクを減らすためにリグロスを用いた再生療法を行いました。再生の可能性を上げるため、出来ればリグロスのみではなく人工骨などの併用を勧めましたが、経済的な理由により保険適用のリグロス単体使用で手術を行っています。
左下の当院初診時のレントゲン写真を見ると、歯周病で骨が失われたことが確認できます(黄色い枠内)。リグロスを用いた再生療法を行い術後約2年半経過していますが、骨の再生が認められ、非常に良好な経過を辿っています(右下レントゲン写真黄色の枠内)。
全ての症例で再生が認められるわけではありませんが、歯周病でお悩みの方、再生治療をお考えの方、ぜひ一度当院にお越しください。
2024年も、さらに多くの歯周病でお悩みの患者様を救えるよう、スタッフ一同日々邁進していきたいと思います。どうぞ、曳舟デンタルクリニックをよろしくお願いいたします。

