奥歯のインプラント治療
〜インプラント治療例⑤〜
今回紹介するのは、歯科治療を長期間中断したことにより虫歯が進行してしまった方に、抜歯後インプラント治療を行なった治療例です。
虫歯や歯周病、歯根破折などが原因で抜歯を行うと、歯を支えていた骨が少なくなっていきます。その結果、のちにインプラント治療を行おうとした際、骨の量が少なく大規模な骨造成が必要になることがあります。
この抜歯後の骨の減少(吸収)を最小限にする処置を抜歯窩保存術(リッジプリザベーション)と言います。抜歯の際、徹底的に感染源を除去し抜歯した穴に人工の骨を移植し、メンブレンと呼ばれる薄い膜やコラーゲンのスポンジなどで蓋をして縫合します。この状態で約半年待機し、移植した骨が成熟するのを待ちます。半年後に骨の量をCTで確認、骨の量が十分ならばインプラント治療を行います。
初診:2021年6月、34歳の女性
主訴:右下、左下の奥歯の虫歯を治したい。
治療経過:①ブラッシング指導②スケーリング(歯石とり)③左右下奥歯の抜歯、抜歯窩保存術 ④インプラント埋入手術 ⑤仮歯装着 ⑥最終補綴(被せ物)⑦メインテナンス(治療終了後3ヶ月に一度)
費用:抜歯窩保存術(抜歯も含む)、インプラント治療は保険適応外になります。
リスク:手術直後の痛み、腫れ、唇の麻痺など
初診時、左右の第一大臼歯は虫歯が進行しており抜歯適応でした。患者さんは健康な歯をなるべく削りたくないとのことで、インプラント治療を希望されたため、抜歯と同時に抜歯窩保存術を行い約6ヶ月待機しました。半年後のレントゲン写真(治療途中)で、インプラントを埋入するのに十分な骨量が確認できたため、インプラント手術を行っています。ジルコニアクラウンによる被せ物も装着し、治療後の経過も良好で患者さんも非常に満足されています。
歯を抜く際、抜歯窩保存術という比較的簡単な処置を行うことにより、後のインプラント治療時に大規模な骨造成を避けられ、インプラント手術がシンプルになることが最大のメリットです。また、歯肉の厚みも保存できるため、ブリッジによる治療を選択した際も、審美的な治療結果が得られます。
抜歯と診断された際、一つの選択肢として検討してみてはいかがでしょうか?
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