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インプラントも歯周病になる?

頑張って時間とお金をかけて受けたインプラント治療。もうこれで、歯の悩みから解放される!…と思ったのに、何か最近そのインプラントの調子がおかしい。といったような経験はありませんか?

インプラントは人工物なので虫歯にはなりませんが、自分の歯で言うところの歯周病にはなります。インプラント周囲の歯肉や、インプラントを支えている骨のトラブルをインプラント周囲疾患と言います。

インプラント周囲疾患には、大きく分けて二つあります。

歯周病が、歯肉炎(炎症が歯肉に限局している)と歯周炎(炎症が骨にまで及んでいる)に分けられるように、インプラント周囲疾患も、炎症がインプラント周囲の歯肉に限局しているインプラント周囲粘膜炎と、さらに炎症が進み、インプラントを支える骨まで溶けてしまっているインプラント周囲炎とに分けられます。

歯肉炎がしっかりとしたプラークコントロールを行えば治るのと同じく、インプラント周囲粘膜炎も早期発見で治ります。

その一方、骨が吸収してしまったインプラント周囲炎は未だ治療法は確立しておらず、様々な治療法が試行錯誤されている状態です。インプラント周囲炎は、歯周炎と比較して進行が非常に早く、手をこまねいているとせっかく治療したインプラントを抜かなければいけない事態になってしまいます。

インプラント周囲疾患の主な原因として考えられているのは、プラークコントロールが不十分であることと、歯周病に罹っている(いた)ことです。インプラント周囲炎を起こした部位から、歯周病の原因菌であるP.g菌などが高頻度に検出されることが報告されており、インプラント治療前に徹底的に歯周病治療をしておく必要があります。

では、インプラント周囲疾患はどのくらいの方が罹るのでしょうか?

国外の論文で数多くの報告がありますが、インプラント周囲粘膜炎で約60%、インプラント周囲炎で約20%程度と言われています。日本国内での報告は、日本歯周病学会が行った「歯周病患者におけるインプラントの実態調査」という大規模調査があります。これは歯周病専門医がいる医療機関でのインプラント周囲疾患の罹患率の結果ですが、インプラント周囲粘膜炎で33.3%、インプラント周囲炎で9.7%という結果でした。この結果からも、インプラント治療前の、より専門的な歯周病治療がいかに重要かであるかということがわかるのではないでしょうか。

当院では、歯周病専門医として、すべての患者様に徹底的な歯周病治療を行っております。インプラント治療を希望される方には、治療前の歯周病菌の細菌検査から始まり、必要があれば再生療法などの歯周外科治療、インプラント治療のための骨造成、インプラント周囲の歯磨きを行いやすくするための歯肉の移植手術なども行います。「ここにインプラントを1本治療してくれればいいのに、なんでそんな大掛かりな治療受けなければいけないの?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、すべてはインプラント周囲疾患を予防するためです。歯周病治療はいいから、インプラント治療だけしてほしいという方には絶対にインプラント治療は行いません。

インプラントの歯周病とも言えるインプラント周囲疾患。この厄介な病気にならないためにも、インプラント治療前の徹底的な歯周病治療と、インプラント治療後の定期的なメインテナンスが重要なのです。